【書評】どんな人でも買わずにはいられなくなる「欲望直撃」のしかけ

2013年4月22日月曜日

書評

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はじめに



本書は、殿村美樹さん(1961年生まれ女性。)と言う方が書かれた、いかにして人の欲望にアプローチして売るか?と言うテーマの本です。

恥ずかしながら存じ上げなかったのですが、殿村美樹さんは、ひこにゃん、佐世保バーガー、今年の漢字、さぬきうどん観光などを手がけた凄腕のブームメーカーな方のようです。

どのような本?

  • 負けたくない
  • 褒められたい
  • 安心したい
  • 感動したい
  • 一人だけ取り残されたくない

と言う人間が持っている欲求に対していかにしてアプローチしていくか、を実例を交えながら綴っていきます。


僕は最初読んだ時に、あやうく〜商法と呼ばれる商売になるのでは?と感じてしまいました。

それについては、本の中でも書かれているのですが、あくまでも、相手を幸せな気持ちや状態にするために相手の欲望を刺激するらしいです。

ただ、僕がちょっと頑ななのかもしれませんが、それでもなをなんか嫌だ、と言う気持ちをぬぐいされない。

それで気がついたのですが、何故か僕は、相手の気持ちをコントロールしてそれを商売にすることに生理的に嫌悪感を抱くようです。

でも、本当は、それっておかしいですよね。
だって商売って、基本的に相手のちょっと足りない何かを補う事でなりたつのであって、それが物理的な物であれ、論理的な物であれ、何であれ、本当は相手の役にたつもので相手が喜んでくれるものなら、胸を貼って商売していいはず。

なのに、心の問題になると、途端に嫌悪感を抱く。
僕がおかしいのかはわかりませんが、本質的にこの感覚をなんとかしないとちゃんと人の役にたつサービスが出来ない気がしてきました。


心に響いた内容は?



僕が本書の中で、あぁこの人はちゃんと仕事してきた人だなぁと偉そうに思ったのは、以下の内容から。


ブームは、人が日頃隠している「欲望」を刺激することで生まれます。

中略

しかし、この方法を使った企画は、構想段階で大半が「そんなことは、とてもできない」といった言葉とともに消え去るのが一般的です。いざ実施するとなると、誰もが持っている常識や建前が邪魔をするのです。だから、当事者と少し離れたところから客観的に働きかけるか、もしくは、内部にしかけの本質を理解できる人がいるか、どちらかでないと実現しません。
「ひこにゃん」は、私のクライアントが当事者の彦根市ではなく、滋賀県だったからこそ客観的な視点からしかけられたものでした。そうでなければ、「大切な国宝、彦根城を差し置いて、マスコットにスポットを当てるのか」という地元の反論をもろに受けて、実現出来なかったと思います。




よく、こうあるべきだ!と声だかに訴えて、それがわからないやつはダメだ!とか関わるな!と言う事を聞くのですが、良くも悪くもこの世界の大多数を動かしているのは、そのわからずやだったり、ダメだと罵ってみたりしている人たち。

そういう人たちをどうやって巻き込んでいくのか?が実は、崇高な思いを抱く事と同じくらい大事だったりします。

著者は、普通とちょっと違う事でしか良い仕事は出来ない事を認識しつつ、ちょっと違う事を通すためには、どうすればいいかを、おそらくは毎回手を変え品を変えやられているのだと思います。

きっと、本書を読んで基本的な考え方を学んだとしても著者と同じようには出来ないのは、そこなんじゃないか、と思いました。

人の気持ちって言うのは、いくつになってもわからないものですし、だからこそ、面白いなぁと思います。

「人を騙す」のではなく、「人に寄り添う」ために、人の裏側に入るやり方を学ぶ気持ちで読んで頂けると、とても面白く読めるのではないかな、と思います。


以上です。

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