僕は長い間この鳥は飛ぶのを諦めてうずくまっているのだと思ってました。
でもある時、それは間違っていると気づきました。
鳥が飛ぼうとしたのです。
背中の鳥が羽を広げようとしたのです。
この鳥は飛ぼうとして羽を集めていたのです。
過去のない現在はない。
過去にとらわれて生きるのか。
それとも過去を受け入れて生きるのか。
原作者は西加奈子さん。
「さくら」など、ゆったりとした文体で優しい本を多く出版されている作家さんです。
ストーリー
物語は、前半ゆったりと進みます。田舎に暮らすムコ(向井理さん)と、ツマ(宮崎あおいさん)は、お互いに秘密を抱えながら田舎の人々と優しい毎日を暮らしていた。
ある日ムコの元に手紙が届き、ムコはツマに自分の日記を託して東京へ向かう。
過去と向き合う
「人」と言うのは不思議な存在です。同じ事を言ったとしても、それを言う「人」によって、心に届く言葉もあれば流れてしまう言葉もある。
言葉を発した「人」の持つチカラだけでなく受け取る側のチカラとちょうどシンクロした瞬間にはじめて伝わることもある。
それは言葉ですらない事もある。
そんな時、僕はツマに出会ったのです。
溶けていっているから、月。
大丈夫ですよ。
大丈夫ですよ。
あの。
結婚してください。
セリフだけ抜き出すとなんの事やら。
と言うセリフなのですが、ムコが過去と向き合い、自分が過去を乗り越えた瞬間のツマとの出会いを語ったセリフです。
大きな月に怯えるツマにはじめて話した言葉。
僕はこの鳥、あなたに救われました。
僕もあなたと同じように過去に絡めとられていた。
最後に
のんびりとした前半は正直眠くなるかもしれません。そして、一回見た正直な感想は、へぇー。と言うものだったのですが、そういえばレビュー書こうと思ってどんな内容だったっけ?と思って見返してみると、一回目では全然感じなかった新しい発見がたくさんありました。
ドタバタがあり、一気に駆け抜けるというタイプの映画ではありませんが、ゆっくりとひとりで何かを感じたい時にオススメです。
以上です。