ロコンドと言うECサービスをご存知でしょうか。
一時期、靴の試し履きができるECとしてその界隈では有名になったサービスです。
本書は、マッキンゼーを経てロコンドを立ち上げ、2014/1/23現在も代表取締役を勤める田中 裕輔さんがマッキンゼーでの経験を書いた本です。
マッキンゼー出身の社長は何故多いのか?
大前研一さん、勝間和代さん、瀧本哲史さん、南場智子さんなど、とにかく有名な方を多く輩出するマッキンゼー。マッキンゼー・アンド・カンパニー - Wikipedia
著者は、なぜこれほどまでにひとつの企業が多くの起業家や著名人を輩出できるのかを以下のようにいいます。
- 自信:会社に頼らなくてもやっていける
- 「価値観のマインドコントロール」:売上や利益ではなくバリュー(価値)で評価される
- マッキンゼーの懐の大きさ
もちろん、経営コンサルティング業なので、経営者に多く知り合う機会があり、その人脈や経験があると言う事も大きいとは思うのですが、それだけでは他の経営コンサルティング会社も状況は変わりません。
残念ながら、マッキンゼー出身の方と深く親交させていただいた経験がないので詳しくはわかりませんが、ふたつ目の「価値観のマインドコントロール」が大きく効いているのでないでしょうか?
イシューとはなにか?
『イシュー』という言葉を意識して働いた経験のある人は、おそらくすごく少ないのではないかと思います。僕も聞いた事はありましたが、特別『イシューは何か?』なんて問いかけながら仕事はしてきませんでした。
イシューを辞書でひくと
とあります。〔議論の〕論点、争点
〔問題の〕核心、急所
著者によれば、
「お客様はどんな人?」
と言うのがレベル1のクエスチョンであり、
それを知った結果何がしたいのか?
「郊外で靴屋がない人にチラシを配る」
がレベル2のアクション仮説。
そして、アクション仮説をするか、しないかが経営にとって重要かどうか?
がレベル3のイシューだといいます。
なんだかわかったようなわからないような、ですが、要はそれって経営にとって最重要?を常に問いかけるという事でしょうか?
こんな事をマッキンゼーでは新人の頃からやるそうです。
一般的な会社の新人ならば、「言われた事を素直にやってればいいんだ!」とか言われ続けている時期に、まるで自分が経営者になったかのような体験を繰り返し行ってるわけです。
五年も経てば、どちらがどうなるかは明らかと言えば明らか。
なぜ辞めるのか?
著者も言っているように、経営者の側で模擬経営のような事をやっていると必ず一度は思うであろう、「自分で経営したい」と言う欲望。これは、良くわかります。
自分の中で明らかにこうだ!と思っても、あくまでもコンサルなので、経営者が別な判断をすればそれには逆らえない。
中には、明らかに失敗するとわかっている判断に固執する経営者もいるでしょう。
そんなことを繰り返していれば、当然「自分でやりたい」と思うのは人の性ですよね。
実務経験は?
コンサルティング業に入って頂いて経営の立ち直しなどをやるといつも言われるのが、「言っていることは正しい。でもそれをやるのは大変だ。」ということ。大変でもやりなさいよ!といいたくなりますが、それが出来ないから経営コンサルに来て頂いているという側面もあり。。
正論を正論のまま実行できる企業はたいていうまくいっている企業なのですよね。
それが実行できないくらいに人と人の関係がこんがらがってしまっておかしくなっている。
これを解きほぐすには正論ではなく、人と対話して関係性の中で徐々にやるしかない。
そういう意味で、著者が「フィードバックについて」や、「一番の学びはチームメンバーを『承認』すること」と書いていることが、非常に興味深かったです。
おそらく、正論だけではない部分もきちんとやる(あるいはやろうと努力する)人だからロコンドもうまく起業できたのでしょうね。
最後に
誰もがすぐに真似をして結果を出せる、といったHowTo本ではないですが、世の中にはこういった価値観で仕事をしてきて、こういった仕事をする人がいるということを知っておくにはよい本なのではないでしょうか?以上です。