生活の3分の1をメディアに触れて過ごしていると言われる現代において、メディアを理解せずにビジネスを行うのは難しい。
メディアというものを正しく理解することによって、今後のビジネスにおいてメディアとどう付き合っていくかを自分自身で考える事ができるようになる本。『MEDIA MAKERS―社会が動く「影響力」の正体』
著者は田端信太郎さん
田端信太郎さんは、1975年生まれで「R25」の源流となるプロジェクトを立ち上げ2005年ライブドア入社、ライブドア事件後執行役員に就任。BLOGOS(ブロゴス)、Market Hack、TechWaveというウェブメディアを経験した後、VOGUE、GQ JAPANのウェブサイト立ち上げ、2012年6月にNHN Japan執行役員就任。ウェブメディア、紙媒体のメディアと渡り歩いた人物で自身を「メディア野郎」と言っているくらいメディアが大好きな方のようです。
メディアの影響力を理解する
健全なビジネスをして、キャッシュ・フローが出ている会社に高い株価がつく、普通はそう考えるが、現実においては逆のケースがありうる、とのこと。イケてる会社だとメディアに紹介され競合他社を有利な条件で買収し、いい人材が集まる。結果として本当にイケてる会社になってしまう。
そんな事を起こしてしまうのがメディアの力としてあり、著者はその力を 『メディアには、公に向かって書いた瞬間、伝えた瞬間からその内容を自己実現させる方向に向かう力が生来のものとして備わっている。』といいます。
著者は、現在においてビジネスに重要なのは、「人・モノ・金」ではなく、『タレント』と『アテンド』だといいます。
『タレント』とは、人材であり、『アテンド』とは、注目をどうやって集めるか?
どちらも、メディアの力なくしては成し得ないとのこと。
受信者こそが主役
本書では、メディアの構成要素は、1.送信者、2.受信者、3.コンテンツで成り立つといいます。ここで重要なのは、メディアは必ず受け手を必要とするということ。
受け手こそが大様であり、受け手にどのように受け取ってもらうか、それがもっとも重要。
また受け手をきちんとペルソナとして認識出来ていることが重要。
いわゆるペルソナ(性別・年代・地域)などではなく、ペルソナ自身があなたに語りかけてくるくらいに具体的な人物になっていることが重要とのこと。
例えば、野外フェスの特集を組むか?ということが議題になったときに、対象者が「えぇー日焼けとかうざいしぃー」と言ってくれるほど具体的なペルソナならば、判断にも迷わないとのこと。
そこまでのペルソナを作るってちょっとすごいですけど、でも良いメディアって必ずそこまで突き詰めている気がしますね。
コンテンツは3次元で整理する
コンテンツは、3次元で整理できる、とのこと。フロー(即時性) ⇔ ストック(長く読まれる)
参加性(食べログ) ⇔ 権威性(ミシュラン)
リニア(映画など線で描かれる) ⇔ ノンリニア(ウェブコンテンツなど非線形)
このように分類すると、コンテンツも非常にわかりやすいです。
メディアの存在理由
著者は、メディアの存在理由を以下のように言います。メディアの本質的な存在理由とは、情報の縮減機能をもたらす「信頼」とそれが生み出す受け手への「影響力」にこそあります。
メディアは、受け手に信頼されてこそ存在理由があるとのこと。
信頼されないメディアは、何を言ってもなんにもならない。確かに信頼されないメディアにはチカラはないですね。。
最後に
知識としてメディアを理解することにはとても役立ちます。ただ、自身のメディアを運用して試行錯誤する人でないとその本質は理解できないかもしれません。
実務の中でこそ役に立つことが満載な本だと思います。
以上です。