はじめに
はじまって、54分頃に夫婦ふたりで、ヘッドフォンを外して、「榮倉奈々ちゃんって、女優になったんだねぇ。」と言ってしまいました。
榮倉奈々さんと言えばセブンティーンのモデルの頃に、宮崎あおいさんに似ていて、あれ、あおいちゃん大きくなった?
なんて思っていたものですが、その後女優に転身して、本当に女優さんになったんだなぁ、と全く面識もないのに、妙に感慨深い思いにふけてしまいました。
そのくらい、本作品での榮倉奈々さんの演技は素晴らしかった。
観ている側に、こういう演技か。と思わせない演技と言っていいのかわかりませんが、こういう状況のこういう子ならば、必然としてこういう表情になるよね、わかる、わかるよぉー。と思わせる表情を随所に見せてくれます。
あまり、セリフが多い役ではないのに、背景が見えます。
演技をしたこともない人間が言うのもおこがましいのですが、そう思わせてくれる俳優さん、女優さんって本当に貴重な存在です。
ストーリー
高校時代に友人の死やイジメを経験して、極度の躁鬱病となり、やっと回復してきたタイミングで、死んだ人の遺品整理をする会社で働きはじめた永島杏平(岡田将生さん)。一方で、高校時代に強姦され妊娠し、何度も自殺未遂を繰り返していた久保田 ゆき(榮倉奈々さん)も、遺品整理をする会社で働いていた。
ふたりは徐々に親しくなり、お互いの過去を打ち明けていく。
沈黙
村上春樹さんの沈黙と言う短編の中にこんな言葉があります。でも僕が本当に怖いと思うのは、青木のような人間の言いぶんを無批判に受け入れて、そのまま信じてしまう連中です。自分では何も生み出さず、何も理解していないくせに、口当たりの良い、受け入れやすい他人の意見に踊らされて集団で行動する連中です。
本作品の中でも、意味もなく人に危害を加え、永島にも嫌がらせをしてくる松井(松坂桃李さん)に、永島が言う。
「お前だけが悪いんじゃない。」
そんて、そんな姿を傍観している周りの人たちに叫ぶ。
「お前ら、なんで何も言わないんだ!関係ないんじゃないんだよ!おかしいよ、お前ら。」
イジメの本当の恐ろしさは、イジメ自体ではなく、イジメを受けている人を見て見ぬふりしている人たちを感じて、自分と傍観している人たちの間には、何もない。人と人との関係なんて何もない、と感じてしまう事ではないでしょうか。
最後に
大人は大変だけど、学生の大変さに比べたらたいしたことはない。本当にそう思います。
無理に合わない人間たちを小さな箱の中に押し込めて、無理に合わせようとするから無理が出る。
合わなければ、自分の意思で外に出る選択肢が物理的にも心理的にも用意されていれば違うのでしょうけど、僕らの頃にはそんなものは全く用意されていませんでした。
とにかく時間が早く過ぎて欲しい、と思いながら生きて行く事ほどつまらないものはありません。
大変だけど、そういう意味では大人のほうが楽しいんじゃないかな?と思います。
自分の意思で、意外と何でもできますし。
以上です。